減量よりも難しい!?「体重維持」とリバウンドの現実 - パフォーマンス向上の医学メディア

減量よりも難しい!? 体重維持の現実とリバウンドの壁

はじめに

「ダイエットには成功したのに、気づけば元の体重に戻ってしまった…」

「いつもリバウンドしてしまう…」

そんな経験はありませんか? 実は、体重を減らすことよりもダイエット成功後にリバウンドせずその体重減少を長期間維持することのほうが、ずっと難しいことがわかっています。

今回は、米国の大規模調査と長期追跡研究の結果をもとに、「体重を減らした後の現実」と「維持を成功させるヒント」を解説します。


研究①:1年以上の体重減量維持はどれくらい可能か

Kraschnewski 2010(NHANES, 1999–2006 データ解析)

  • 対象:過去に過体重または肥満だった成人14,306人(20〜84歳)
  • 方法:自己申告による最大体重と現在体重を比較し、**最大体重から少なくとも1年以上維持された減量(LTWLM)**を評価
  • 結果
    • 5%以上の減量を1年以上維持:36.6%
    • 10%以上維持:17.3%
    • 15%以上維持:8.5%
    • 20%以上維持:4.4%
  • 解釈:1年以上維持できる人は一定数いますが、大幅な減量を長期的に保てる人はごく一部。

研究②:1年以上先の維持はさらに困難

減った体重をキープすることが大変(長期追跡研究)

  • 対象:減量プログラムや生活習慣介入で体重減少を経験した成人
  • 方法:1年、2年、5年後まで体重推移を追跡
  • 結果
    • 1年維持できても、その後の数年で体重は徐々に増加
    • 2年後には減らした体重の約半分が戻る傾向
    • 5年後には80%以上が元の体重に近づく
  • 解釈:1年の維持はゴールではなく通過点であり、その後も継続的な努力が必要。ほとんどの人がダイエット後にリバウンドしてしまう。

なぜ長期維持は難しいのか?

  • 生理的要因:基礎代謝の低下、食欲増加ホルモン(グレリン)の上昇
  • 行動要因:モチベーションの低下、生活習慣の元への回帰
  • 心理要因:達成感による気の緩み

実生活へのヒント

  • 減量後も運動・食事・自己モニタリングを継続
  • 週150分以上の有酸素運動を維持
  • 毎週の体重測定で早期に増加を察知
  • 食生活は休日も含めて一定のパターンを保つ
  • アプリや支援グループで継続の仕組みを作る

まとめ

減量は健康改善の第一歩ですが、その効果を長く保つためには日々の習慣化が不可欠です。

1年間の維持は重要なマイルストーンですが、本当の挑戦はその後に訪れます。 研究では、5年間維持できる人はごくわずかであり、短期的な成功に満足せず、長期戦略を立てることが必要です。


引用文献

  1. Kraschnewski JL, et al. Long-term weight loss maintenance in the United States. Int J Obes (Lond). 2010;34(11):1644–1654. doi:10.1038/ijo.2010.94.
  2. Wing RR, Phelan S. Long-term weight loss maintenance. Am J Clin Nutr. 2005;82(1 Suppl):222S-225S. doi:10.1093/ajcn/82.1.222S.

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