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「VO₂max改善に最適なのはどっち?HIITとMICTを徹底比較」
HIITとMICTの比較
「持久力を伸ばすには、長く走るのが一番?」
それとも「短時間でも追い込むインターバルトレーニングが効果的?」
持久力やスタミナのカギを握る指標「VO₂max(最大酸素摂取量)」は、健康寿命から競技パフォーマンスまで幅広く影響します。
そのVO₂maxを効率よく高める方法として、HIIT(高強度インターバルトレーニング) と MICT(中等度持続トレーニング) が注目されています。ここでは、研究結果をもとに両者を比較してみましょう。
研究の概要
- 研究チームと発表年 ・2007年 Helgerudら、2025年 Frontiers in Physiology など
- 対象者 ・若年健常者、アスリート、高齢者、がんサバイバーなど多様な集団
- 方法 ・HIIT(短時間・高強度を繰り返す)とMICT(中等度の有酸素運動を連続的に行う)の比較
- 期間 ・2週間〜数か月のランダム化比較試験や縦断研究
主な結果
VO₂maxの改善度
- HIITはMICTより改善効果が大きい
- 2007年の研究:HIITがMICTより有意にVO₂maxを増加させた【Helgerud et al., Med Sci Sports Exerc. 2007】
- 2025年のメタ分析(がんサバイバー対象):HIITのVO₂max改善は SMD=0.53 とMICTより有意に高かった【Front Physiol. 2025】
効率性
- HIITは 短時間でも大きな効果 を得られる一方、疲労度が高く継続が難しい人もいる。
- MICTは改善幅はやや小さいが、安全性と継続性が高い。
考察
HIITは「短時間で効率よくVO₂maxを上げたい人」に適しています。これは、高強度運動によって心拍出量や末梢の酸素利用効率が大きく刺激されるためです。
一方、MICTはトレーニング負荷は軽めで、継続性が高いという利点があります。特に高齢者や運動初心者には無理のない導入法となります。
つまり、「効率性のHIIT」「継続性のMICT」 と言えるでしょう。目的や体力レベルによって選ぶことが重要です。
実生活へのヒント
- 忙しい人 → HIITを週2〜3回(例:1分全力+2分軽め × 6〜10セット)
- 運動習慣をつけたい人 → 30〜60分のウォーキングやジョギングを週3〜5回
- 両方のメリットを得たい人 → HIITとMICTを組み合わせて計画するのも効果的
まとめ
HIITはVO₂maxを効率的に高める強力な方法ですが、継続性や安全性の点ではMICTにもメリットがあります。
「目的に応じて使い分ける」 ことこそ、VO₂max改善の最適解と言えるでしょう。
引用文献
- Helgerud J, et al. Aerobic high-intensity intervals improve VO₂max more than moderate training. Med Sci Sports Exerc. 2007.
- Peng Chenggen et al, Effects of high-intensity interval training (HIIT) versus moderate-intensity continuous training (MICT) on cardiopulmonary function, body composition, and physical function in cancer survivors: a meta-analysis of randomized controlled trials. Front Physiol. 2025.