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筋トレで骨密度アップ?見逃せない最新エビデンス
なぜ筋トレは骨を強くする?
日常に取り入れやすい筋トレが、骨を強くするエビデンスが高まりつつあります。これは、骨に加わる力(負荷)が骨芽細胞を刺激し、骨が適応・強化されるという仕組みに基づいています。
メタ分析に見る「筋トレによる骨密度向上」の効果
2022年・高齢者対象のメタ分析
- 研究内容:70~90%1RMで週3回の筋トレを12〜52週間実施した7つの研究(高齢者370名)を統合分析
- 結果:
- 腰椎(Lumbar Spine):骨密度が約 +0.62%
- 股関節(Total Hip):骨密度が約 +0.64%
- 大腿骨頸部(Femoral Neck):変化なし(‑0.22%)
- 示すこと:長期的な筋トレで、腰椎と股関節の骨密度がやや増加する効果がある可能性がありますが、頸部は変化が少ない傾向。いずれにせよ、骨のやせるスピードを食い止める「予防的効果」は期待されます。
骨粗しょう症リスクの高いポストメノポーズ女性に向けた最適トレーニングは?
2025年・サブグループ分析を含むシステマティックレビュー
- 対象:17件のRCT、計690名のポストメノポーズ女性
- 主な結果:
- 腰椎(LS):標準化平均差(SMD)=0.88(有意)
- 大腿骨頸部(FN):SMD=0.89(有意)
- 全股(TH):SMD=0.30(有意)
- 大転子(Troch):有意差なし
- トレーニングの最適条件:
- 高強度(≥70%1RM)
- 週3回
- 期間は48週以上
- 1セッションは約40分が効果的
- 示唆:高強度・適度な頻度の筋トレを1年以上継続することで、腰椎・大腿骨頸部・股関節の骨密度向上に有効である可能性が高いことが明示されています。
実生活で使えるポイントまとめ
- 対象 高齢者に加え、閉経後の女性への効果も確認済み
- 効果部位 腰椎、股関節(全股・頸部)で特に改善が期待される
- 負荷量 高強度(≥70%1RM)がベスト。ただしまずは身体の状態に合わせて段階的に強度アップを。
- 頻度・期間 週3回、40分程度/セッションで、できれば12か月以上続けることが望ましい
- 注意点 高強度トレーニングは関節やバランスにも負担がかかるため、フォームや専門家の助言が重要
まとめ(要点を1〜2行で)
高齢者および閉経後女性において、週3回・高強度の筋トレを1年以上継続することで、腰椎や股関節(特に大腿骨頸部)の骨密度が有意に向上する可能性があります。筋トレは「骨を守るためのベースケア」として、ぜひ習慣に取り入れたい健康戦略です。
引用文献
- Massini DA et al. The Effect of Resistance Training on Bone Mineral Density in Older Adults: systematic review and meta‑analysis. 2022.
- Zhao F et al. Optimal resistance training parameters for improving bone mineral density in postmenopausal women: a systematic review and meta‑analysis. Journal of Orthopaedic Surgery and Research