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「たった1回の運動でも脳は変わる?協調性トレーニングが高齢者の認知機能を改善」
1回の運動で脳が活性化?協調性トレーニングが認知機能に与える即時効果
運動は長く続けないと効果が出ないと思っていませんか?
実は、たった1回の協調性運動やバランストレーニングでも、注意力や実行機能が向上することが報告されています。
Dunskyら(2023)の研究は、単発の運動セッションが高齢者の認知機能に与える即時的な効果を検証しました。
研究の概要
- 研究チームと発表年:Dunsky A. ら、2023年(Applied Sciences)
- 対象:健康な高齢者
- 方法:
- グループに分けて「協調性トレーニング(バランス・コーディネーション運動)」「有酸素運動」「安静」の3条件を比較
- 運動は1回のみ実施
- 運動前後で注意力・実行機能を評価(認知課題テストを使用)
- 焦点:単発の運動セッションが高齢者の認知機能に即時的効果を持つかどうか
主な結果
- 協調性トレーニング群 → 注意力と実行機能(タスク切り替え能力など)が有意に改善
- 有酸素運動群 → 認知機能改善は見られたが、協調性トレーニングよりも小さい効果
- 安静群 → 認知機能の改善は認められなかった
- 結論 → たった1回の協調性トレーニングでも、高齢者の認知機能が即座に向上することが明らかになった
考察
この研究は、運動が「長期的に効く」だけでなく、短期的にも脳の働きを高めることを示しています。
特に協調性トレーニングは、バランス感覚や複雑な動作制御を伴うため、脳の広範な領域を活性化します。
有酸素運動が血流や代謝を介して効果を示すのに対し、協調性運動は「脳への直接的な刺激」として即時性が高いと考えられます。
実生活へのヒント
- おすすめの協調性運動
- 太極拳やヨガ
- ダンス(特にステップやリズムを伴うもの)
- バランスボード、片足立ちトレーニング
- 簡単なアジリティドリル(ラダー運動など)
- 効果的な取り入れ方
- ウォーミングアップに短時間取り入れる
- 日常生活の合間に5〜10分行うだけでも脳の活性化につながる
- 音楽やリズムを加えるとさらに効果的
- 高齢者に特に有効
- 認知症予防の一環として、日常生活に協調性運動を取り入れることが推奨される
まとめ
Dunskyら(2023)の研究は、単発の協調性トレーニングでも高齢者の注意力や実行機能が改善することを示しました。
つまり「運動は継続が大事」ですが、1回でも脳に効果があるというのは励みになるニュースです。
日常に短時間のバランス運動やダンスを取り入れることが、認知機能維持の大きな一歩になるでしょう。
引用文献
Dunsky, A., et al. (2023). The Effect of a Single Session of Balance and Coordination Training on Cognitive Function in Older Adults. Applied Sciences, 13(6), 3598.