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たんぱく質の「質」に注目!健康的な食材選び
はじめに
たんぱく質は筋肉や臓器を作るために欠かせない栄養素です。でも、同じ「たんぱく質」でも、どんな食品からとるかによって体への影響は大きく変わります。
最近の研究では、赤肉や加工肉は糖尿病や心臓病のリスクを上げる一方で、魚や大豆などは健康を守る可能性が高いことがわかってきました。ここでは、その理由と研究結果を紹介します。
赤肉・加工肉はリスクを高める
アメリカで行われた大規模な追跡調査(Panら、2011年)では、赤肉(牛肉や豚肉など)やソーセージ・ベーコンなどの加工肉をよく食べる人は、2型糖尿病(生活習慣病の一つ)になるリスクが高いことがわかりました。
- 赤肉を1日100g増やすと、糖尿病のリスクは約2割アップ
- 加工肉を1日50g(ソーセージ2本程度)増やすと、リスクは約5割アップ
ただし、これらをナッツ、低脂肪の乳製品、全粒穀物などに置き換えると、リスクが下がることも分かっています。
魚は健康を守る味方
日本で行われた研究(Nanriら、2011年)では、魚を多く食べる男性は、糖尿病になるリスクが約3割低いことがわかりました。
魚には高品質のたんぱく質だけでなく、EPAやDHAといった血管や代謝に良い脂肪酸が含まれています。これらは血糖値のコントロールを助け、炎症を抑える働きもあります。
大豆など植物性たんぱく質の力
世界中の研究をまとめた解析(Schwingshacklら、2017年)では、植物性たんぱく質を多くとる人は、心臓病や寿命に関するリスクが低いことがわかりました。
- 植物性たんぱく質を多くとると、死亡リスクが約1割低下
- 赤肉や加工肉を、豆腐や納豆、豆類などに置き換えると、さらに効果が高まる
まとめ
- 赤肉や加工肉は食べすぎると糖尿病や心臓病のリスクが高まる
- 魚や大豆は、健康を守る効果が期待できる
- ポイントは「たんぱく質の量」だけでなく、「たんぱく質の質」
- 肉の回数を少し減らし、魚や大豆製品、ナッツなどを取り入れることが健康維持につながる
参考文献
- Pan A, et al. Am J Clin Nutr. 2011;94:1088–1096.
- Nanri A, et al. Am J Clin Nutr. 2011;94:884–891.
- Schwingshackl L, et al. Am J Clin Nutr. 2017;105:1462–1473.