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運動後のリカバリーに必要な水分と電解質:脱水からの最速回復法
なぜ水分と電解質が重要なのか?
激しい運動や試合で大量に汗をかくと、体重の2%以上の水分が失われることがあります。これを脱水状態のまま放置すると、
- 体温調節の低下
- 集中力や判断力の低下
- 筋痙攣やパフォーマンス低下
などが起こり、次の練習や試合にも悪影響を与えます。
そのため、リカバリーの一環として水分と電解質の補給は欠かせない戦略です。
水分補給の基本戦略
- 目標量:運動で失った体重の 150%に相当する水分 を、運動後2〜4時間かけて摂取することが推奨されています【Sawka et al., 2007】。
- 理由:単に飲んだ分だけでは尿として排出されやすいため、体内に残すにはやや多めの補給が必要。
- 実践:体重の変化を目安に「何kg減ったか」を測ると、必要な水分量を簡単に算出できます。
電解質(特にナトリウム)の役割
- ナトリウム:汗で最も多く失われる電解質。水分保持を助け、低ナトリウム血症を防ぐ。
- カリウム:細胞内液に多く存在し、筋収縮や神経伝達に関与。
- マグネシウム:筋痙攣予防や代謝補助に関与(不足が直接の原因とは限らないが補助的に重要)。
→ 特にナトリウムを含む飲料や食事と一緒に摂ることで、補給した水分が体内に保持されやすくなることが報告されています【Shirreffs & Sawka, 2011】。
実生活への応用
- 運動直後:スポーツドリンク、経口補水液
- 食事から:味噌汁、梅干し、おにぎり+塩、オレンジやバナナ(カリウム源)
- 大量発汗時:ナトリウム入りタブレットや電解質パウダーを水に溶かして補給
まとめ
- 運動後の水分補給は「体重減少分の150%」を目安に、2〜4時間かけて行う
- ナトリウムを含む飲料・食事と組み合わせることで、効率的に体液バランスを回復できる
- カリウムやマグネシウムなどの電解質も、筋機能維持や疲労回復に役立つ
引用文献
- Sawka MN, et al. American College of Sports Medicine position stand: Exercise and fluid replacement. Med Sci Sports Exerc. 2007;39(2):377-390.
- Shirreffs SM, Sawka MN. Fluid and electrolyte needs for training, competition, and recovery. J Sports Sci. 2011;29 Suppl 1:S39-S46.