「昼寝」がパフォーマンスに及ぼす影響【最新研究を解説】 - パフォーマンス向上の医学メディア

「午後になると頭がボーッとする」「集中力が続かない」…そんな経験、ありませんか?

「昼寝」がそれを改善するかもしれません。2021年のメタアナリシスでは、「短時間の昼寝」が脳のパフォーマンスを向上させることが明らかになりました。今回はこの研究をもとに、昼寝の効果とその科学的根拠をわかりやすく解説します。


【本文】

■ 昼寝はサボりではない?

「昼寝=怠けている」というネガティブな印象を持たれがちです。しかし、世界的な企業(Google、NASA、HuffPostなど)では、社員のために「昼寝スペース」を導入しているほどです。

それもそのはず。今回紹介する国際的な研究では、「昼寝が脳の認知機能を高める」という明確なエビデンスが報告されたのです。


■ 昼寝は“全体的な認知機能”を向上させる

この研究では、昼寝をとった人と取らなかった人を比較して、認知機能(注意力、記憶、実行機能)の変化を調査しました。

その結果、昼寝後のグループは認知機能全体が有意に向上。特に「注意力」においては顕著な改善が見られました(効果量=0.29, 信頼区間 0.10〜0.48)。

これは「ちょっと休むだけで、脳の性能が回復する」ことを示す非常に興味深い結果です。


■ 最も効果的なのは「早めの昼寝」

また、昼寝の「開始時間」にも注目です。

研究によると、午後1時より前に昼寝を始めた方が効果が高かったと報告されています(効果量=0.28, p=0.003)。これは、私たちの体内時計が「午後1〜3時ごろに眠気を感じる」よう設計されていることと関係しています。

つまり、「昼食後に10〜20分の仮眠」が、理にかなった“脳のリセット”方法なのです。


■ 注意点:長すぎる昼寝は逆効果?

ただし、「昼寝を長くすればするほど良い」わけではありません。

研究では、昼寝直後(30分以内)は一時的に集中力が落ちる“睡眠慣性”という現象が起こる場合があるとも指摘されていました。

この“寝起きのボーッと感”を避けるには、「20〜30分程度の短い昼寝」が最もおすすめです。


【まとめ】

  • 昼寝は、注意力・記憶力・実行機能を改善する
  • 特に午後1時前の昼寝が効果的
  • 長すぎる昼寝は“逆効果”の可能性がある

現代人にこそ必要な「昼寝習慣」、ぜひあなたも明日から試してみてはいかがでしょうか?

引用 Dutheil F, Danini B, Bagheri R, et al. Effects of a Short Daytime Nap on the Cognitive Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Environ Res Public Health. 2021;18(19):10212.

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