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筋トレはインスリン感受性を改善する?有酸素運動との比較からわかった効果
筋トレと血糖コントロール:一般成人にも効果があるのか
「糖尿病予防にはウォーキングやジョギングが大事」とよく言われますが、実は「筋トレ(レジスタンストレーニング)」も血糖コントロール改善に効果があることが示されています。
特に注目すべきは、筋トレ単独だけでなく、有酸素運動との組み合わせがさらに強力な効果を発揮するという点です。
研究概要:STRRIDE AT/RT 試験
- 発表年:2014年(米国)
- 対象:過体重または肥満の一般成人 123名
- デザイン:ランダム化比較試験(RCT)
- 介入群:
- 有酸素運動(AT)
- 筋トレ(RT)
- 有酸素+筋トレ(AT+RT)
- 評価項目:インスリン感受性(Si)、インスリン分泌、血糖関連指標
主な結果:筋トレとインスリン感受性の改善効果
有酸素運動(AT)
- インスリン感受性が有意に改善
- HbA1cや空腹時血糖の低下も認められた
筋トレ(RT)
- 単独でもインスリン感受性に改善傾向
- 特に筋量の増加を通じた効果が示唆された
有酸素+筋トレ(AT+RT)
- 最も大きな改善効果を示した群
- インスリン感受性はAT単独よりさらに上昇
- 血糖コントロール全般の改善に最も有効
結果として、「筋トレは単独でも効果があるが、有酸素運動と組み合わせることで最大の効果が得られる」ことが示されました。
筋トレがインスリン感受性を高める理由
- GLUT-4の増加:筋肉細胞への糖取り込みが促進される
- 筋肉量の増加:ブドウ糖の“貯蔵庫”が拡大
- 脂肪の減少:内臓脂肪の減少がインスリン抵抗性改善に寄与
- 炎症の抑制:慢性炎症を抑え、インスリンシグナルの伝達効率を改善
実生活での取り入れ方
- 週に3〜4回の運動習慣を持つ
- 有酸素運動(30分程度のウォーキングやジョギング)
- 筋トレ(スクワット、腕立て、ベンチプレスなど主要筋群を使う運動)
- 組み合わせがベスト:時間がある人はAT+RTを実践
- 続けることが大事:12週間以上続けることで効果が安定
まとめ
過体重の一般成人を対象とした STRRIDE AT/RT 試験 によって、筋トレはインスリン感受性を改善することが示されました。特に有酸素運動と組み合わせることで最大の効果が得られるため、糖尿病予防や血糖コントロール改善を目指す人には、両方の運動をバランスよく取り入れることが推奨されます。
引用文献
AbouAssi H, Slentz CA, Mikus CR, et al. The effects of aerobic, resistance, and combination training on insulin sensitivity and secretion in overweight adults from STRRIDE AT/RT: a randomized trial. J Appl Physiol (1985).