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運動後の筋グリコーゲン回復を最大化するには? ― 最新レビューから学ぶ栄養戦略
なぜ筋グリコーゲンの回復が重要なのか?
持久系運動や高強度トレーニングでは、筋肉と肝臓に貯蔵されたグリコーゲンが主要なエネルギー源として消費されます。
グリコーゲンが枯渇するとパフォーマンスは低下し、次の練習や試合に大きな影響を与えます。
そのため、**運動後のグリコーゲン回復は、競技者にとって「次のパフォーマンスへの投資」**ともいえる重要な戦略です。
最新レビュー(Burke & Hawley, 2018)のポイント
この論文は、これまでの研究を統合し「運動後の筋グリコーゲン再合成を最適化する条件」を整理しています。
1. 炭水化物の摂取タイミング
- 運動終了後すぐに摂取するのが最も効果的。
- 遅れるとグリコーゲン再合成速度は低下する。 → 特に「複数回の試合や練習が同じ日にある場合」は即時補給が不可欠。
2. 摂取量
- 体重1kgあたり 1.0–1.2 g/h の炭水化物摂取が推奨される。
- これを4〜6時間継続すると、回復が最大化される。
3. 炭水化物の種類
- 高GI(グルコース、マルトデキストリンなど)は吸収が速く、急速な回復に有効。
- グルコース+フルクトースの組み合わせは小腸での吸収経路が異なるため、より多くの炭水化物を効率的に利用できる。 → 特に肝グリコーゲンの回復に有利。
4. 炭水化物+タンパク質
- 炭水化物の摂取量が十分でない場合、タンパク質を加えるとグリコーゲン再合成が促進される。
- 目安:炭水化物に加えて 0.2–0.4 g/kg のタンパク質。
実生活への応用
- 試合直後(30分以内) → バナナ+スポーツドリンク、ゼリー飲料
- 帰宅後の食事 → パスタ+鶏胸肉、ツナおにぎり+味噌汁
- 連戦や二部練習がある場合 → グルコース+フルクトースを含む飲料(例:スポーツドリンク+フルーツジュース)で素早い補給
まとめ
- 運動後のグリコーゲン回復には「早く・十分に・適切な炭水化物」を摂ることが最重要。
- 推奨は 1.0–1.2 g/kg/h を目安に、4〜6時間継続的に摂取。
- グルコース+フルクトースの併用や、炭水化物+タンパク質の戦略でさらに効率的に回復できる。
引用文献
- Burke LM, Hawley JA. Postexercise muscle glycogen resynthesis in humans. J Appl Physiol. 2018;125(2):419-431.