「たった数分でも効果あり?低ボリュームHIITが肥満者のVO₂maxを改善した最新研究」
導入(イントロ)
「HIITは効果的だけど、キツすぎて続かない…」
そう感じる人は少なくありません。特に肥満の方や運動習慣がない人にとって、従来のHIIT(Tabataや4×4分法)はハードルが高いトレーニングです。
しかし近年、「低ボリュームHIIT(Low-volume HIIT)」でも十分にVO₂maxを改善できるという研究が報告されました。今回は肥満者を対象としたRCTをご紹介します。
研究の概要
- 著者:Reljic D, et al.
- 雑誌:Journal of Translational Medicine, 2020
- 対象:肥満成人(BMI >30)60名以上
- 方法:
- 週3回、10分程度の低ボリュームHIIT(例:サイクルエルゴメーターで短時間の高強度スプリント+休息を数セット)
- 対照群:通常の生活習慣維持
- 期間:12週間
- 評価項目:VO₂max(mL/kg/min)、体組成、運動継続率
主な結果
- VO₂max改善:介入群で +3.5 mL/kg/min の有意な向上を確認。
- 体組成:体重減少は軽度(平均1〜2kg程度)。
- 継続率:従来の長時間有酸素運動と比べ、運動離脱率は低めで「短時間でもできる」という心理的ハードルの低さが示唆された。
考察
この研究のポイントは、「VO₂max改善に必要な運動量は必ずしも長時間・高ボリュームではない」ということです。
従来のHIITは強度が非常に高く、「運動が苦手」「時間がない」人にとっては実践困難でした。
しかし、低ボリュームHIITであれば
- 1回10分前後
- 週3回 という比較的ハードルの低い形で、心肺持久力の改善が可能です。
ただし、低ボリュームとはいえ 「短時間で心拍数を大きく上げる運動」 には変わりないため、心疾患や整形外科的リスクのある方は必ず医師の監修下で行う必要があります。
実生活へのヒント
- 忙しい人 → 仕事前や昼休みに「自転車エルゴ × 数分のスプリント」を取り入れる
- 運動初心者 → まずは 低ボリュームHIITから週2〜3回 を習慣化
- 肥満者 → 長時間のジョギングよりも、短時間で効果が得られる可能性あり
まとめ
ReljicらのRCTは、低ボリュームHIITでも肥満者のVO₂maxが+3.5 mL/kg/min向上することを示しました。
つまり、従来の「きつすぎるHIIT」だけでなく、より実践的で継続可能な形のHIITが有効である可能性があります。
運動が苦手な人にとっても、短時間・低ボリュームのHIITは新たな選択肢となり得るでしょう。
引用文献
Reljic D, Frenk F, Herrmann HJ, et al. Low-volume high-intensity interval training improves cardiorespiratory fitness in obese adults: a randomized controlled trial. J Transl Med. 2020;18:419. doi:10.1186/s12967-020-02592-6