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高タンパク質食に注目が集まる理由
はじめに
「高タンパク質食」は、減量や健康維持のための食事法として近年注目を集めています。従来の低脂肪食や高炭水化物食と比較して、満腹感の持続や筋肉量の維持、さらには体重減少後のリバウンド抑制といった効果が報告されているためです。本記事では、高タンパク質食の定義や特徴、そして最新の大規模研究から見えてきた利点について解説します。
高タンパク質食とは
一般的な食事では、総エネルギーの約10〜15%がタンパク質由来です。これに対して高タンパク質食は、総エネルギーの20〜25%をタンパク質から摂取する食事パターンを指します。
タンパク質量を増やすためには、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを積極的に取り入れ、相対的に炭水化物比率を下げることが必要です。
従来食との違い
- 低脂肪食:脂質を抑えることで総カロリーを減らす。炭水化物やタンパク質の比率は比較的高め。
- 高炭水化物食:主食中心で炭水化物の比率が高く、GI(血糖指数)が高くなりやすい。
- 高タンパク質食:炭水化物比率を下げる分、タンパク質を増やすことで食後血糖上昇が緩やかになり、満腹感が長く続く。
最新研究からのエビデンス(NEJM, Diogenes study)
ヨーロッパ8か国で行われた大規模ランダム化比較試験(NEJM, Diogenes study)では、減量後の体重維持における高タンパク質食の有効性が検証されました。
- 対象:8週間の低カロリー食で8%以上の減量に成功した過体重・肥満成人
- 方法:26週間、高タンパク(25%エネルギー)vs 低タンパク(13%エネルギー)、さらにGI(低GI vs 高GI)で比較
- 結果:
- 高タンパク群は低タンパク群より平均0.93 kgリバウンドが少なかった(ITT解析, P=0.003)
- 完遂者解析でも、低タンパク群に比べて1.44 kg少ない体重再増加
- 「低タンパク+高GI」群は有意なリバウンド(+1.67 kg)を認めた
- 解釈:
- タンパク質比率のわずかな増加でも、減量後の体重維持に有意な効果
- 炭水化物比率を減らし血糖変動を抑えることで、過食を防ぐ可能性
まとめ
高タンパク質食は、減量期だけでなく減量後の体重維持にも有効であることが、大規模試験で示されています。
従来の低脂肪食や高炭水化物食とは異なり、タンパク質を多く含むことで満腹感を長く保ち、リバウンド防止に寄与します。日常生活に取り入れる際は、魚や大豆製品、乳製品など良質なタンパク源を選び、栄養バランスを意識することが大切です。
参考文献
Larsen TM, et al. Diets with High or Low Protein Content and Glycemic Index for Weight-Loss Maintenance. N Engl J Med. 2010;363(22):2102–2113. doi:10.1056/NEJMoa1007137.