目次
Outline
「運動は脳を鍛える?認知機能を高める仕組みを総合レビュー」
運動は脳に効く?最新研究が示す驚きの効果
「運動したあとは頭がスッキリする」と感じたことはありませんか?
これは単なる気分の問題ではなく、科学的に裏付けられた現象です。近年の研究では、運動が身体だけでなく脳や心の健康にも良い影響を与えることが次々に報告されています。
本記事では、Mandolesiら(2018)の包括的なレビューをもとに、運動が認知機能やウェルビーイングに与える影響についてわかりやすく解説します。
研究の概要
- 研究チームと発表年:Mandolesiら、2018年(Frontiers in Psychology)
- 研究の性質:レビュー論文
- 対象:小児から高齢者まで幅広い年齢層
- 焦点:運動が脳の可塑性(neuroplasticity)に及ぼす影響、認知機能(注意、記憶、実行機能)、心理的効果(ウェルビーイング)
主な結果
- 神経科学的効果
- 運動は脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌を促進
- 海馬や前頭前野など、学習・記憶に関わる領域の構造変化を促す
- 認知機能への効果
- 注意力・作業記憶・認知柔軟性が向上
- 問題解決や意思決定に必要な実行機能を改善
- 心理的効果
- ストレスや不安の軽減
- 気分の改善とウェルビーイングの向上
考察
このレビューは、運動が脳と心に多面的な効果を持つことを示しています。
特に重要なのは、運動が「脳の可塑性」を高めるという点です。脳の可塑性とは、経験や刺激に応じて神経回路が再編される能力であり、学習や認知機能の向上の基盤となります。
また、この効果は年齢を問わず認められるため、子どもの学習支援から高齢者の認知症予防まで幅広い応用が期待できます。
実生活へのヒント
- 毎日の生活に「軽い有酸素運動(ウォーキングやジョギング)」を取り入れる
- 筋トレやコーディネーション運動(ダンス、球技など)も組み合わせると効果が増す
- 運動は短時間でも積み重ねが大事。1日20分程度からでも始められる
- メンタルヘルス改善のために、リズム運動(ジョギングやサイクリング)が特に有効
まとめ
運動が身体だけでなく脳の健康にも欠かせない要素であることを明確にしています。
「体を動かすことは、頭を動かすこと」。日常に運動を取り入れることは、記憶力や注意力を高め、メンタルを整える最良の方法のひとつです。
引用文献
Mandolesi, L., Polverino, A., Montuori, S., Foti, F., Ferraioli, G., Sorrentino, P., & Sorrentino, G. (2018). Effects of Physical Exercise on Cognitive Functioning and Wellbeing: Biological and Psychological Benefits. Frontiers in Psychology, 2018.