複合糖質は持久力を高める?古典的研究が示すスタミナ維持の効果 - パフォーマンス向上の医学メディア

複合糖質は持久力を高める?古典的研究が示すスタミナ維持の効果


マラソン前に食べるなら?複合糖質がスタミナを支える理由

「マラソンや長時間の練習前に食べるなら、チョコレートよりパスタやおにぎりを選ぶべき?」

運動直前の速効性は単糖に軍配が上がりますが、長時間の競技や持久力が問われる場面では話が変わります。

複合糖質はゆっくり消化され、持続的にエネルギーを供給できるため、スタミナ維持の栄養戦略として注目されてきました。

今回は、FAO(国連食糧農業機関)が報告した古典的実験から、複合糖質の優位性を紹介します。


研究の概要

  • 研究チームと発表年 国連食糧農業機関(FAO)による実験的研究(1970年代〜1980年代にかけて報告)。
  • 対象者 健康な成人男性(詳細は報告書内で記載)。
  • 方法 被験者を3つの食事条件に分けて比較:
    1. 複合糖質強化食(パン・パスタなど)
    2. 単糖強化食(チョコレートなど砂糖を多く含む食事)
    3. タンパク質強化食
    その後、ランニング持久力(走行時間)を測定。
  • 期間 食事介入後、直ちに持久運動テストを実施。

主な結果

  • 複合糖質群:持久力(ランニング時間)が 約26%向上
  • 単糖群:持久力が 約23%向上(効果はあるが複合糖質に劣る)
  • タンパク質群:持久力の改善効果はほとんどなし

➡ 炭水化物摂取自体がスタミナ維持に寄与するが、特に複合糖質を中心とした食事が優れていることが明らかになった。


考察

この研究は、長時間の運動や持久競技では複合糖質の摂取が有利であることを示しています。

考えられるメカニズムは以下の通りです:

  • 複合糖質は消化吸収がゆるやかで、血糖値の急上昇を防ぐ
  • 長時間にわたり安定したエネルギー供給を可能にする
  • 筋グリコーゲンの消耗を遅らせ、疲労の onset を後ろ倒しにできる

単糖もエネルギー源としては有効ですが、血糖の変動が大きいため「即効性はあるが持続性に劣る」という特徴があることが確認されます。


実生活へのヒント

  • 長時間の練習やマラソン前 → 2〜4時間前にパスタ、米、パン、オートミールなどの複合糖質中心の食事が推奨。
  • 短時間で補給が必要な場面 → 単糖(ジェル、バナナ、スポーツドリンク)が有効。
  • 理想は組み合わせ → 例:試合前日〜数時間前は複合糖質でカーボローディング、直前は単糖で速効エネルギー補給。

まとめ

FAOによる古典的研究は、複合糖質が持久系パフォーマンスに有利であることを示しました。

すなわち「短期決戦は単糖、有酸素の長丁場は複合糖質」という栄養戦略が、科学的にも裏付けられています。


引用文献

FAO. Carbohydrates in human nutrition. Report of a Joint FAO/WHO Expert Consultation. FAO Food and Nutrition Paper No. 66. Rome: FAO; 1998

この記事を書いた人 Wrote this article

editor2025

TOP